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lanseyouyu

無言のままのさい君が

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無言のままのさい君が

さい君はトイレに立ったことで、話の尻尾を失念してしまったようなんです。
 僕は、僕で多少狼狽しました。なぜって、あまり集中して聞いていなかったので、斯様な突然の口頭試問に全く対応できなかったからです。いや、まずい、聞くふりをしていたことがばれてしまう・・・・、あたふた、あたふた。
 しかし、さい君は幸いにも、僕にはあまり期待していなかったようで、虚空を見つめながら、どこまで話したかを自分で思い出そうとしているようですreenex
 懸命に話の末尾を思い出そうとする妻と、一緒に思い出すふりをしながらただただ妻が自分で思い出してくれることを心中願う夫、による沈黙がしばらく続きました。

 その時です。無言のままのさい君が表情を変えずに、いきなり立ち上がりました。
 「?」
 どこに行くんだろう・・?
 このときのさい君の行動を見た僕は、実際この女は頭がどうかしたのか、と思いました。
 さい君は、訝しがる僕をよそに、立ち上がると迷いもない様子でまっすぐに歩き出します。そして、そのまま、たった今行ったばかりのトイレに消えていきました。
 はあ、またトイレreenex cps??
 と僕が心の中で呟いたのと、ほぼ時を違わずして、トイレからさい君がまた現れました。つまり、さい君は『トイレにほんの一瞬入っただけ』ですぐさま踵を返したわけです。あれれ、と思う間もなくさい君はそのまま表情を変えずに再びこちらのほうにまっすぐに歩いてきて、澱みない動作で、しかし無言のまま僕の隣に座りました。
 やや、奇怪な・・・。
 呆然とする僕に構わず、さい君は、まるで何事もなかったかのような口調で、僕の顔を見つめながら、再びこう言いました。
 「ええと、で?どこまで話した?」
 えっ!なんだそら?
 そうです。さい君は、一連のこの無言での不可解な行動を全く同じ台詞で括弧閉じしちゃったんです。これじゃあ夫は戸惑うじゃないですかreenex cps
 だって、
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